私の遺品整理について
私が前に進んだきっかけの一つに遺品整理があります。
これは人それぞれなので、私の経験を一つの参考にしていただければと思います。
こんな人いるのだなと思っていただいて、自分だったら亡き夫の遺品をどうするか、未来の自分をどうするのかを考えるきっかけにしてもらえたら、幸いです。
そもそも夫は色々なものを大切にするタイプの人でした。
私からのメモ程度の手紙も残しているような人でしたし、今時代では考えらえませんがCDをコレクターのように集めている人でした。
夫は音楽をダウンロードする世界を知らずに逝ってしまたんですね。
とにかく、「なんでも取っておく」人でした。
万が一に備えて、「いつか使うかもしれない」ものを色々と準備して、家に保管していました。
しかし、その万が一来ないまま彼は亡くなったということです。
亡き夫のモノを手にして、たどり着いた答えは?
夫が亡くなった時、しばらくは彼の匂いのする服類や手紙類は捨てられずにいました。
彼の想いや、彼の人となりがモノを通して伝わってくるからです。
「あぁ、彼は多くの人に愛されていたんだな」とか、逆に「彼は多くの友達を大切にしていたんだな」と、彼への想いを巡らせ深めていきました。
衣類に関しても、しばらく彼を思って抱き締めていました。
でも、結局いくら想いを巡らせても、彼の素晴らしさを認識しても、夫は還ってこないという結論に至ります。
だから、いつしか彼のモノは、逆に還ってこない現実を突きつけられる、悲しさを引き起こすツールになりました。
とにかくモノを見ると辛い、苦しいという現実にたどり着くだけなので、いつしか私は彼のものは怖くて距離を置くようになりました。
彼のモノはどんどんと過去のものとなっていきます。
これ以上未来に使うこともなく、苦しい現実を付きつけられるだけのモノと変化していきました。
モノとして生き生きとしていない、そんな風に夫のモノは風化していきました。
遺品整理に踏み切ったわけ
遺品整理をしようと思った1番のきっかけは、私と彼が笑顔で写っている写真でした。
私は、もうこんなふうに人生で笑うことはできない。
この笑顔は失ったしまった。そう思って、泣き崩れました。
一番辛いものは、彼のモノよりも過去の自分の笑顔。
そこで、もう見ることが辛すぎると思い、見ない方法、すなわち自分の前から抹消する遺品整理に踏み切りました。
手にとって見るから辛くなるんだ
それならば、手に取らない状況を強制的に作るしかないと、ただ自分の苦しさから逃れるために遺品整理を始めたというわけです。
夫の親友にわざわざきてもらい、ネクタイやいただいたプレゼント類は引き取ってもらいました。(形見分け)
夫のモノを生かしてくれる人のもとに嫁いで行った、そんな感じです。
そうやって、自分の罪悪感を少し減らしながら、一気に遺品整理に踏み切りました。
ゴミの日はいつも夫のもので溢れていました。
近所の人にどうみられようが関係ない。そんなことより、目にして辛くなる自分を解放することが優先でした。
遺品整理をして何が変わったのか?
遺品整理をして、私は後悔を一切していません。
一切、です。
メリットしかないと思っています。
私は、夫のものを目にしたり、手にしたりしなくなり、劇的に落ち込む時間が減りました。
過去に引っ張られることなくなりました。
逆に、未来を考えられるようになりました。
そして、夫への感謝
万が一のためにものを準備することは大切なことではあるけれど、それを使うことなく亡くなった夫からたくさんのことを学びました。
- 備えるものを多く持ちすぎても結局は使わない
- 過去のものを持っていると、過去に引き戻される
- 結局ものを持ってあの世にはいけない
- そのものは誰かに処分してもらわないといけない
- ものは多く持ちすぎなくても、不便なく暮らせる
などなど、メリットは書き切れないほどあります。
私は、夫と死別して、モノへの執着がほとんどなくなりました。
夫のことはモノがなくても思い出せますので、何も怖くはありません。
そして、何より遺品整理は時間と精神的な負担がどれだけ大きいのかを若い時に経験できてよかったと思っています。
それを知ることで、今必要以上のものを買うこともしなくなりました。
経済的に無駄な支出をせずに暮らせています。
子供たちにも、もし私が先だったとしても、なるべく負担がかからないように準備できていると自負しています。
そして何より、苦しい時間に引き戻されることが大幅に減り、未来を不安に思いすぎることなく、現在に集中する時間が増えました。
そういう意味では、色々な価値観がとてもシンプルになったので夫に感謝しかありません。
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