食道がんステージ3(4に限りなく近い)の父に提示された治療法は3つ。
1化学療法
2抗がん剤治療
3ステントで症状の緩和のみ
で、1、2の成功率がとても低いと言われた父。
でも父は動揺することなく、自分の命をどうするか、自分の人生をどうするか、もう決めているんですね。
父は手術、抗がん剤治療はしない、ましてや胃瘻(管を通して胃に栄養を直接入れる。もう食事はできない)は絶対にしない。
今回提示された選択の中で、これがダメだったら、こうしようという1→2にしようとか、3→1をやってみよう、ダメだったら、最後の望みで2をしよう、何て言うことはできない。後戻りはできないことを聞かされました。
人生の3択。これで、自分の人生が決まってしまうのです。
本当に私たち家族がある意味楽だったのは、父の決意が固いこと。
だって父の人生ですもん。父がこうと決めたらそれが正解なんです。
父の答えは、ステントを入れて、今の症状を緩和すること。
だから、食堂に突き出ているガンをネットのようなもので広げてうまくいえば食事ができるということです。
ただ、ガンは残っているのでその間どんどん進行するわけです。
他の臓器にも転移することもあるかもしれない。
父の場合、下血があるのですが、血流のよくなる薬も飲んでいる(今は休薬中のようですが)のでそれを止めると、血栓ができやすい体質のようなので、脳梗塞の再発も考えられます。
吐血っていうことだってあるかもしれないし、痛みが出てきてしまえば麻薬を使わざるを得ない場合もある。
でも、こうなりますっていうことはわからない。
で、元に戻ると、提示された1〜3、どれを選択しても、そうなわけです。
更に究極いうと、人はいつかは死ぬんです、と先生が言ってました。
本当にそれはそうで、兄なんかはこの言葉で全て納得いったようですが、本当にそうなんですよ。
私は、夫を亡くしているので、その感覚はなんとなく身近でもう自分の人生にも刻まれている部分もあるかもしれない。そう思います。
なので、自分が良いと思った人生を歩むのが一番いいのです。
自分の人生は自分で選択していくのです。
それって、今日の洋服から、食べるものまで全部、そうなんですよ、自分で決めてる。
その延長というとなんなのですが、究極、自分の命もその選択の中の一つなんですよね。
私たちは、父は手術、放射線治療はしませんと幾度も先生に訴えていて、もう先生も含めて異議なしっていうことなんですよ。
父が決めた人生なんだから、もう私たちの出る幕じゃないんです。
じゃあ、その中で自分が自分の人生を後悔やら、やり残しをどう選択するか、それが自分のできることで、やることなんです。
他人の人生をとやかく言うなんて本当におこがましいのです。
父が迷っているなら私たち家族で考えることもありますが、父の意志は固かった。
お迎えが来たらその時はその時だったとうことなんだ、と言っていて、私は、父がそうなら迷うことない。私は何も迷いはありませんでした。
父が決めたことなんだから、そういうことなんだ。
ただそれだけでした。
受け止めて、そうか、と思うだけ。
何とかして1日でも長く生きて、とかそういうことも今回は思わなかったな。
多分父は本当に何度も倒れていて、何度も今回はもう意識が戻らないかもと覚悟をしていました。
1度はそういう状況の中、私たちに判断を任されたことだってあります。
そうやって人の人生他人が決めてしまうことだってある。
ただ、それでも意識を取り戻し、こうして自分の人生を自分で決められるっていうこと、それは私たち家族、それ以上に父にとってとても幸せなことなのかもしれないと思うのです。
父と私たちの家族の歴史はそんな感じだったので、父に対してそういう気持ちです。
だから、人生全く同じ人生なんてないし、同じ家族もありえない。
私たちのケースはこんな感じです。
もしこれを読んで納得しない人や、批判的思う人があればどうぞそう思っていいと思います。
だって考え方も受け取りかたも違うしね。
これを読んでもし救われると思えた人がいたのなら、それはそれでよかった。
何かのヒントになるのは、色んな材料が必要で、それを自分の中で消化して落とし込んで自分の人生に活かして行く。私はそんなやり方できたから。
その材料のひとかけらにでもなったらいいなと思って書いてます。自分の心の整理にもなりますし。
父は自分の人生を決めて、一つ前に進みました。
家族が迷うことも今はありません。
そこからどうなっていくのかは正直全くわからないし、まぁ正直言えば、よくはならないんですよ、そのままなんですから。
でも、それも父が決めたこと。それをダメだよとか、やっぱりこうすればよかったんだとか後から口出すことは絶対にしません。
後戻りはできません、やっぱり手術してガンをとってくださいはできないんだから。
そう思うと、今日のひとつひとつの選択も少しだけ、少しずつ変わっていくかもしれませんね。
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